Japanese
English
研究と報告
Flumazenil投与により一過性覚醒効果が認められた肝性脳症の1症例
A Case of the Hepatic Encephalopathy improved by Flumazenil
國友 充康
1,2
,
浜田 芳人
1
,
太田 保之
3
Mitsuyasu KUNITOMO
1,2
,
Yoshito HAMADA
1
,
Yasuyuki OHTA
3
1対馬いづはら病院精神科
2現,長崎大学医学精神科
3長崎大学医療技術短期大学部
1Department of Psychiatry, Tsushima Izuhara Hospital
2Department of Neuropsychiatry, Nagasaki University School of Medicine
3Department of Occupational Therapy, The School of Allied Medical Sciences, Nagasaki University
キーワード:
Flumazenil
,
Hepatic encephalopathy
,
Benzodiazepine ligands
Keyword:
Flumazenil
,
Hepatic encephalopathy
,
Benzodiazepine ligands
pp.843-847
発行日 1996年8月15日
Published Date 1996/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904153
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【抄録】flumazenil投与により,意識障害が改善した肝性脳症の1症例を報告した。症例はC型肝炎による肝硬変が認められ,発症時,振戦,両側Babinski反射陽性,高アンモニア血症などより,肝性脳症Ⅱ度と判断された。flumazenil投与後,第1病日は10分後に,第2病日は30分後に,2〜3時間の持続ではあるが完全覚醒が認められた。肝性脳症のGABA/BZ仮説に基づくflumazenilによる治療は,欧米では多数試みられ,その有効性が証明されている。肝性脳症において,初期では,ベンゾジアゼピンレセプター(BZR)密度の増加が報告されたが,現在は否定的な見解が多く,最近では内因性のBZRリガンドの増加が証明され,活発な論議がなされている。本症例の治療経過は,GABA/BZ系が肝性脳症の成因に関与している可能性を支持するものであり,flumazenilが,肝性脳症の有力な治療薬となる可能性を示唆したものであると考える。
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