Japanese
English
研究と報告
ランダム性生成課題による精神分裂病者の思考障害の検討
Thought Disorder of the Schizophrenics through the Randomization Task
伊藤 宗親
1
,
太田 克也
2
,
小川 俊樹
3
,
恩田 寛
4
Munechika ITO
1
,
Katsuya OHTA
2
,
Toshiki OGAWA
3
,
Hiroshi ONDA
4
1筑波大学心理学研究科
2東京医科歯科大学神経精神医学教室
3筑波大学心理学系
4恩田第二病院
1Doctoral Program in Psyehology, University of Tsukuba
2Department of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
3Institute of Psychology, University of Tsukuba
4Onda-Daini Hospital
キーワード:
Schizophrenia
,
Thought disorder
,
Randomization task
Keyword:
Schizophrenia
,
Thought disorder
,
Randomization task
pp.87-94
発行日 1995年1月15日
Published Date 1995/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903810
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【抄録】精神分裂病の思考障害を,思考機能の評価に有用とされるランダム性生成課題を用いて検討した。ランダム性生成課題とはでたらめな系列を生成する課題であり,従来の「数」を用いた課題に加え,新たに日本語の「かな」を用いた課題を行い精神分裂病群((n=12)と健常者群(n=16)との間で比較を試みた。その結果,従来の研究と同様に「かな」を素材としたランダム性生成課題でも,精神分裂病群に保続反応が有意に多く産出された。このことから,保続という思考形式の障害が精神分裂病群に特徴的であることが示された。また,その生成時間の比較から,かなランダム性生成課題において精神分裂病者は生成時間が長くなることが示され,これも陰性思考形式の障害である生産性の低下によるものであると考えられた。そして,ランダム性の質的な検討の結果,精神裂病者においては濁音ど清音以外の「かな」が有意に産出され,有意味語を多く産出することが示された。
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