「精神医学」への手紙
Letter—心気の説
岡田 靖雄
1
1精神科医療史研究会
pp.777
発行日 1994年7月15日
Published Date 1994/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903702
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精神科医となって20年ぐらいは心気症の語に違和感をおぼえつづけていた。“依剥昆垤児”などとしるされてきたものに“心気症”の訳語をあてたのは呉秀三で,その『精神病学集要(前編)』(1894年)の『一二訳語ノ出典」に呉は本間棗軒『内科秘録』(1822年)から,“心気病。心気ハ素問二心気瘻ト云ヒ金匱要略ニ心気不足ト有ルヲ鼻祖ト為ス〔下略〕”をひいている。『素問霊枢』脈度篇に“心気。心臓之気也”とあるのである。
謝観『中国医学大辞典』(1958年,台北)をめくると,“心痺 心気閉塞之病”,“心邪心気失其正向為邪也”,“心気虚則悲”,“心気虚者。其人則畏。〔中略〕魂魄妄行。〔下略〕”などとある。
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