動き
「第32回日本児童青年精神医学会」印象記
小林 隆児
1
1大分大学教育学部
pp.288-289
発行日 1992年3月15日
Published Date 1992/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903216
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一昨年,京都にて国際児童青年精神医学会が開催され,本学会がその中心的役割を果たし成功裏のうちに幕を閉じた。その翌年の学会ということで会員の積極的な参加が得られるかどうかを心配する向きもあった。プログラムの全体を見た第一印象は,どうもあまり練り上げた研究発表は多くないなというものであった。
演題をテーマ別に多かったものから順に挙げてみると,自閉症12題,登校拒否12題,臨床統計8題,心身症7題,摂食障害7題,心理7題,障害児・発達7題,症例・治療6題,抑うつ6題,入院治療5題,青年期4題,地域・社会4題,精神分裂病3題,強迫3題,学校精神保健3題,発達2題であった。この傾向はほぼ例年と変わらないように思われたが,難民の子供とその家族への援助(猪俣丈二氏ら)や帰国子女の問題(佐々木干治氏ら)など新しい課題への取り組みも報告されていた。しかし,一昨年の国際学会で世界中からの報告を聞いていると,本学会が取り組まなければならない課題は実に広範囲にわたっていることをあらためて認識させられたが,その点からすればまだまだ我が国の学会が取り組んでいる領域はかなり限定されたものになっていることを痛感したのである。
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