Japanese
English
短報
Triazolam投与期間に一致して約3カ月間の躁状態を呈した1老人例
Triazolam and Manic State in the Old Age: A case report
宮岡 等
1
,
矢吹 篤
1
,
荻野 孝徳
2
,
渥美 義仁
3
,
浅井 昌弘
4
Hitoshi Miyaoka
1
,
Atsushi Yabuki
1
,
Takanori Ogino
2
,
Yoshihito Atsumi
3
,
Masahiro Asai
4
1東京都済生会中央病院精神神経科
2東京都済生会中央病院精神内科
3宮内庁病院
4慶應義塾大学医学部精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, Tokyo Saiseikai Central Hospital
2Department of Internal Medicine
3Imperial Household Hospital
4Department of Neuropsychiatry, School of Medicine, Keio University
pp.543-545
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902845
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I.はじめに
Benzodiazepine系睡眠導入剤であるtriazolamは,血中濃度半減期が短く翌朝への影響が少ないため,精神科領域のみならず,一般診療科においても広く用いられている。Benzodiazepine系薬剤投与中には,種々の精神症状を呈しうることが知られているが,triazolamにおいても前向性健忘を主とする記憶障害,錯乱,神経過敏,気分高揚,抑うつなどが報告されている。
今回我々は,triazolam 0.25mgを投与開始して5日目頃より躁状態となり,約3カ月間の投与期間中,持続して躁状態を呈した老人例を経験したので報告する。Triazolam投与翌朝に一過性の気分高揚感を認める症例は少なくないが,我々が知る限り,長期間躁状態が持続したとする報告はない。本例はtriazolamの適応,投与方法,特に身体合併症の多い老人への投与を検討するための一助になると思われる。
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