Japanese
English
研究と報告
脳挫傷後の多彩な精神器質性症候群に対してインシュリン・ショック療法が著効を呈した1例
A Case of Postcontusion Psychoorganic Patient with Results Obtained by Insuline Shock Therapy
岸本 年史
1
,
竹林 和彦
1
,
北村 博
1
,
寺田 誠
1
,
山岡 一衛
1
,
飯田 順三
1
,
平井 基陽
1
,
井川 玄朗
1
Toshifumi Kishimoto
1
,
Kazuhiko Takebayashi
1
,
Hiroshi Kitamura
1
,
Makoto Terada
1
,
Kazue Yamaoka
1
,
Junzo Iida
1
,
Motoharu Hirai
1
,
Genro Ikawa
1
1奈良県立医科大学精神医学教室
1Department of Psychiatry, Nara Medical University
キーワード:
Psychoorganic syndrome
,
Frontal lobe negativismus
,
Insulin shock therapy
Keyword:
Psychoorganic syndrome
,
Frontal lobe negativismus
,
Insulin shock therapy
pp.187-191
発行日 1990年2月15日
Published Date 1990/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902792
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抄録 症例は受傷時17歳右利き男性,昭和59年7月初の脳挫傷後重篤な意識障害が続いた。意識回復後は疎通性がなく,発動性の低下,拒食を含む前頭葉性拒絶症,超皮質性運動失語などの一連の精神症状を呈し,TRH,sulpiride等を投与したが効果はなかった。Carbamazepine投与にて接触性はわずかに改善したが,摂食を拒否する前頭葉性拒絶症などの症状は固定し,やむなく昭和61年1月より,インシュリン・サブショック療法を行ったところ,食事を摂る,意欲が出現するなど発動性も回復し,簡単な単語の自発言語も出現した。この療法を契機として退院可能となるなど著明な効果を得た。通過症候群から移行したところの精神器質性症候群および,インシュリン・ショック療法について若干の考察を加えた。
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