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特集 新しい向精神薬の薬理・治療
向精神薬・他の医薬により改善した遷延うつ病の症例
SSRIで十分に改善せずタンドスピロン併用により寛解に至った単極性うつ病の1例
A Case with Unipolar Depression Refractory to SSRI Achieved a Remission following Combined Treatment with Tandospirone
井上 猛
1
,
小山 司
1
Takeshi INOUE
1
,
Tsukasa KOYAMA
1
1北海道大学大学院医学研究科/神経機能学講座精神医学
1Department of Psychiatry, Neural Function, Hokkaido University Graduate School of Medicine
キーワード:
Tandospirone
,
SSRI
,
Refractory depression
,
Treatment-resistant depression
,
5-HT1A receptor agonist
Keyword:
Tandospirone
,
SSRI
,
Refractory depression
,
Treatment-resistant depression
,
5-HT1A receptor agonist
pp.285-287
発行日 2002年3月15日
Published Date 2002/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902604
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はじめに
1999年に本邦初の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)であるfluvoxamineが発売されてから,SSRIの処方件数は増加し,本邦における抗うつ薬の第1選択薬となったといっても過言ではない。吐き気を除くと,従来の抗うつ薬と比較してSSRIの副作用はきわめて少なく,うつ病に対する効果の面でもSSRIは従来の抗うつ薬と同等の効果を持つ2)。発売前の日本における第三相試験では,fiuvoxamineによって中等度改善以上の効果が得られた割合は54.8%であり,この割合は他の抗うつ薬でも同様である5)。言い換えると約45%のうつ病症例はfluvoxamineで中等度改善以上の効果は得られないということであり,fluvoxamineに対する非反応者の治療アルゴリズムの作成は重要な臨床的課題である。JoffeらはSSRI(fluvoxamine,fluoxetine)が無効であったうつ病患者にbuspironeを併用し,25例中17例で中等度以上の改善を認め,8例では完全寛解が得られたと報告した3)。buspironeは本邦では発売されていないが,同じazapirone系のセロトニン1A受容体アゴニストであるtandospironeは1996年に神経症における不安,抑うつと心身症を適応として発売された。
我々は,SSRIであるfluvoxamineによって十分な改善が得られなかった単極性うつ病にtandospironeを併用与薬することによって著明な抗うつ効果を得た症例を経験したので報告する。
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