動き
「第12回日本アルコール精神医学会」印象記
越野 好文
1
1金沢大学医学部神経精神医学教室
pp.1344-1345
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902345
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記録破りの猛暑が続いた2000年夏の8月4日,5日の両日,北里大学医学部精神科の村崎光邦教授を会長に,第12回日本アルコール精神医学会が,相模原市の小田急ホテルセンチュリー相模大野において開催された。相模原市は,東京と横浜のベッドタウンとして急激に人口が増加しており,現在60万人を越える大都市となっているとのことである。しかし,相模大野駅周辺こそ高層建築が見られるが,駅を少し離れると広々とした緑の多い美しい街であった。
学会では特別講演,会長講演,2題のシンポジウムおよび一般演題16題の発表に加えて,最終日の午後に一般公開講座が行われた。「作家 なだいなだ」として大活躍中であり,同時に私たちの大先輩でもある精神科医堀内秀先生の特別講演「回想—アルコール症35年」では,先生が久里浜病院へ赴任され,まったく前例のない状態の中で,画期的なアルコール症の治療法である久里浜方式を創始された時代から現在までの臨床経験をユーモアを混じえて回想された。独特の「なだ」節を参加者一同は堪能した。食道ガン,肝硬変,糖尿病などアルコールが大きな影響を及ぼしている身体疾患が増えていること,かつて医者はアルコーリズムを治そうとしたが,今では患者をサポートすることが役目になったなど社会の変化と結びついたアルコール精神医学の問題点の現状分析と将来についての鋭い指摘に参加者一同大いなる刺激を受けた。
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