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私のカルテから
Lithiumによるfluvoxamine増強効果がみられたうつ病の1例—臨床精神薬理学的見地からの検討
A Case of Depression Responding to Lithium Augmentation to Fluvoxamine: Clinical psychopharmacological assessment
上田 展久
1
,
山田 恭久
1
,
吉村 玲児
1
,
中村 純
1
Nobuhisa UEDA
1
,
Yasuhisa YAMADA
1
,
Reiji YOSHIMURA
1
,
Jun NAKAMURA
1
1産業医科大学精神医学教室
1Department of Psychiatry, University of Occupational and Environmental Health
pp.1116-1117
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902311
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- Abstract 文献概要
治療抵抗性のうつ病に対して,抗うつ薬にlithiumを追加投与することにより,約50%程度の症例で抑うつ症状が改善することが報告されている2,5)。lithiumの抗うつ薬増強作用に関するメカニズムについては,抗うつ薬の慢性投与がセロトニンのpost-synaptic desensitizationを起こし,それに対して後から追加投与したlithiumがpre-synapseのセロトニン伝達を増強するとの仮説がある1)。また一方で,ノルアドレナリン神経系に優位に作用する抗うつ薬に対してもlithiumは増強作用を持つことから4),lithiumによる抗うつ薬の増強作用をセロトニン神経系に対する増強作用のみに帰結することはできない。ところで,最近我々は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)であるfluvoxamineの抗うつ作用(特に抗不安作用)とノルアドレナリンの主要代謝産物である血中3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol(MHPG)の低下が相関を示すことを見いだし,fluvoxamineの抗うつ作用の一部はノルアドレナリン神経系への影響も介している可能性があることを指摘した6)。
今回,我々はfluvoxamineにlithiumを追加投与した症例について,Iithiumによるfluvoxamineの抗うつ効果増強作用の一部にはノルアドレナリン神経系への影響も関与しているとの仮説を立て,血中MHPG濃度を経時的に測定したので若干の考察を加えて報告する。
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