Japanese
English
特集 精神疾患の発病規定因子
強迫性障害の発病状況—治療的観点から
Obsessive-Compulsive Disorder: Circumstance of onset from a therapeutic point of view
本村 啓介
1
,
山上 敏子
1
Keisuke MOTOMURA
1
,
Toshiko YAMAGAMI
1
1国立肥前療養所情動行動障害センター
1Hizen National Mental Hospital, Center for Emotional and Behavioral Disorders
キーワード:
Obsessive-compulsive disorder
,
Life event
,
Behavior therapy
Keyword:
Obsessive-compulsive disorder
,
Life event
,
Behavior therapy
pp.499-507
発行日 2000年5月15日
Published Date 2000/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902221
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はじめに
強迫性障害(obsessive-compulsive disorder;以下OCD)は一般人口の1.3〜2%にみられる精神疾患であり10),反復的,持続的な思考,衝動,心像(強迫観念)と,それに反応して起こる反復的行動(強迫行為)を呈する。発病に関与する状況要因としては,学習理論の見地から外傷的な条件付け体験や強いストレスを与える生活史上の出来事が挙げられ,また生物学的要因としては,画像研究から眼窩前頭回路の発達および機能異常が,薬物療法の経験からセロトニン放出の調節障害が唱えられている。OCDの発病状況は症例により様々であるが,治療においては,行動療法(暴露反応妨害法)と薬物療法(clomipramine,fluvoxamineなど)が大半の症例で効果を上げている。その一方で,発病状況と臨床像や治療効果に何らかの関連があることがわかれば,より適切で予見性を持った治療が可能になると考えられる。そのような目的で,今回国立肥前療養所で治療中のOCDの症例の発病状況について調査し,その結果について検討した。
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