Japanese
English
特集 認知症診療の新潮流—近未来の認知症診療に向けて
認知症の人に対する財産管理支援
Property Management Support for People with Dementia
樋山 雅美
1
,
成本 迅
1
Masami Hiyama
1
,
Jin Narumoto
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学
1Graduate School of Medical Science, Kyoto Prefectural University of Medicine, Kyoto, Japan
キーワード:
認知症
,
dementia
,
成年後見制度
,
the adult guardianship system
,
実行機能
,
executive functioning
,
意思決定支援
,
decision making support
Keyword:
認知症
,
dementia
,
成年後見制度
,
the adult guardianship system
,
実行機能
,
executive functioning
,
意思決定支援
,
decision making support
pp.919-925
発行日 2022年6月15日
Published Date 2022/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206681
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抄録 認知機能が低下するなどして,自分ひとりで財産管理を行うことが難しくなった場合,日常生活自立支援事業や成年後見制度を利用することが推奨されている。ただし,日常生活自立支援事業は,保険の加入や解約などの高度な契約は支援の対象とはしておらず,それぞれの契約に必要な能力が不十分であれば成年後見制度の利用が必要となる。ところが,成年後見制度の利用は進んでいるとは言えず,多くは家族からの支援を受けている。家族による財産管理は,支出の切り分けが煩雑となりやすく,経済的虐待に繋がる場合もある。こうした中で,金融機関は,高齢顧客への対応の柔軟化を図り,認知機能の状態にかかわらず,日常生活上不可欠な使途への預金の払い出しに応じる方法や判断能力の評価の実施を検討している。今後は,財産管理能力や契約能力の評価がより重要になると考えられ,日常診療の中でも,積極的な状況確認や助言が求められるようになると言えよう。
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