増大号特集 精神科診療のエビデンス—国内外の重要ガイドライン解説
第11章 せん妄
がん患者におけるせん妄ガイドライン2019年版
小川 朝生
1
Asao Ogawa
1
1国立がん研究センター東病院精神腫瘍科
1Department of Psycho-Oncology, National Cancer Center Hospital East, Kashiwa, Japan
pp.692-697
発行日 2020年5月15日
Published Date 2020/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206096
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ガイドラインのポイント
・がん医療に携わるすべての医療従事者が適切な一次的ケアを提供できることを目的に,成人がん患者のせん妄に関する診療行為を対象としたガイドラインである。せん妄の診断や薬物療法,非薬物療法,家族へのケアに関する臨床疑問9項目を検討している。
・財団法人日本医療機能評価機構が運営するEBM普及推進事業Mindsによる「診療ガイドライン作成マニュアル」に則り作成された。作成にあたり,臨床疑問ごとにシステマティックレビューを行い,バイアスリスクを評価し,エビデンスレベルを決定する作業を進めている。
・効果の指標はせん妄の改善(持続期間の短縮,重症度の低下)においているが,終末期のせん妄においては,せん妄自体の改善は困難であり,その際のケアのゴールはせん妄の治癒ではなく,苦痛の緩和や療養生活の質の維持・向上にある。そのことから,推奨の作成では,せん妄の指標だけではなく,患者および家族の安寧やQOLの維持・向上を含めた総合的な判断となっている。
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