--------------------
編集後記
M. F.
pp.1104
発行日 2019年9月15日
Published Date 2019/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205906
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本号の特集は「高齢者の精神科救急・急性期医療」です。このタイトルに含まれるトピックはさまざまで,精神医療に近い順から整理してみると,精神医療としての「精神科救急や精神科急性期医療における高齢者」(小田原論文・長谷川論文・中村論文),リエゾンとしての「救急や急性期医療の高齢受診者における精神科的な側面」(和田論文・小川論文),一般医療としての「救急や急性期医療を受診する高齢の精神疾患患者」(古田論文・武田論文),行政としての「精神科的な救急や急性期医療が必要な未受診高齢者への支援」(橋本論文),となるでしょうか。
こうした特集が切実なものと感じられるようになった背景には,社会と医療と人々の意識の変化があります。高齢者人口の増加,それに伴う認知症やがんやせん妄の増加,高齢者の身体疾患への積極的医療の展開,それを踏まえた医療における自己意思決定の尊重,そうした高齢者を見守り支える地域社会の希薄化,などが挙げられます。医療がニーズから出発するものであるのは当然ですが,それは疾患についてのニーズという意味だけではありません。人口構成や疾病構造という社会の変化,身体疾患の治療という医療の変化,人々の意識や価値観の変化,そうしたさまざまな変化に基づく広いニーズに応えることが精神医療に求められていることを,あらためて感じます。
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.