オピニオン パーソナリティ障害の現在
精神科急性期治療におけるパーソナリティ障害の現在—グレーゾーン事例との関連も含めて
今井 淳司
1
1東京都立松沢病院
pp.182-185
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205778
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はじめに
本欄(オピニオン)は,「パーソナリティ障害が臨床家の間で話題にのぼることが減ったのではないか?」との疑問から企画された。筆者は,東京都立松沢病院に勤務し,特にこの数年間は女性のみ48床のいわゆるスーパー救急病棟,今年度からは外来医長として,主に精神科急性期治療を担っている。その経験からすると,確かに新患,外部からの入院依頼においてはパーソナリティ障害が問題となることは少ない。一方,昨年まで勤めたスーパー救急病棟では,時折,パーソナリティ障害が問題化したし,外来で問題になる事例の多くはパーソナリティ障害であるような印象がある。よって,精神科急性期治療の現場からの,前述の疑問に対する直感的回答は「どちらともいえない」という玉虫色のものになる。
本稿では,「精神科急性期治療においてパーソナリティ障害は減ったのか?」との疑問について,まず,措置入院患者におけるパーソナリティ障害の割合の10年間の動向を確認する。続いて,精神科急性期治療におけるパーソナリティ障害治療の実態について触れ,最後にパーソナリティ障害周辺に現在,もしくは今後起ころうとしている問題,について検討する。
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