書評
—ガートルード・ブランク,ルビン・ブランク著/馬場謙一監訳,篠原道夫,岡元彩子 訳—自我心理学の理論と臨床—構造,表象,対象関係
堀川 聡司
1
1目白大学心理カウンセリングセンター
pp.436
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205582
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米国の精神分析家であり,優れた教育者として知られているブランク夫妻による教科書的著書が翻訳出版された。題名の通り,自我心理学の理論(第一部)と技法(第二部)が包括的に学べる内容となっている。
読者の中には,精神分析の著作,それも1994年に刊行された著作(第一版は1974年)が訳されたことについて,「なぜいまどき?」と疑問に思う方もいるかもしれない。いうまでもなく今日の精神医学は,精神生理学・精神薬理学が中心であり,20世紀中盤に全盛期を迎えた精神分析とは,病理理解も治療法も根本的に異なる。さらに精神分析は,良く言えば「古典」,悪く言えば「精神医学の発展を遅らせた阻害物」と見なされることさえある。
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