巻頭言
Lithiumの中毒を避けるために—適切な採血検査と情報提供の必要性
鈴木 映二
1
1国際医療福祉大学熱海病院
pp.694-695
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204980
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Lithium(Li)は最も古い向精神薬であるが,最近あらためてその有効性が注目されている。Ghaemi5)は「Liのメリットは競合薬を大きく上回るので,リスクを理由に処方しないことは患者をだますことになる」と警告している。筆者が2015年1〜3月にかけて特定非営利活動法人日本双極性障害団体連合会の会員を対象に行ったアンケート調査では,有効な回答を得られた双極性障害患者99名(診断は自己申告,平均46.5歳)のうち75名にLiの服用経験があった。
Li使用を躊躇する理由に中毒の危険が挙げられると思うが,最近本誌に続けて4つの報告がなされた。大谷ら8)はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(Angiotensin Ⅱ Receptor Blocker;ARB)の併用,常岡ら15)はARBの変更,塩飽ら11)は糖尿病患者にNa制限食を開始したことをそれぞれきっかけとして中毒症状を来した症例について報告した。長嶺ら7)は,塩飽らの論文11)に関連した考察を報告した。
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