糖尿病入院治療中の減塩食によりlithium中毒を発症した双極性障害の1例

A Case of Bipolar Disorder with Lithium Intoxication by Sodium Restriction during Hospital Treatment of Diabetes Mellitus

はじめに

　Lithiumは双極性障害をはじめ，多くの精神疾患に使用される薬物である。Lithiumの血中濃度の治療域と中毒域は近接するため，投薬量の調整とともに，lithiumの血中濃度を上昇させる要因を認識することは重要である。減塩食がlithiumの血中濃度を上昇させることは古くから知られているが，具体的にどの程度の減塩食で，どの程度のリチウム中毒が起こり得るかはほとんど報告されていない。我々は，糖尿病内科入院中に塩分5.9g/日の減塩食でリチウム中毒を発症した症例を経験したので報告する。