Japanese
English
研究と報告
緩徐に寡動傾向を呈した大脳基底核石灰化を伴うDown症候群の1例
A Case of Down's Syndrome with Basal Ganglia Calcification and Slowly Progressive Akinesia
堤 学
1
,
数川 悟
1
,
倉知 正佳
1
Manabu Tsutsumi
1
,
Satoru Kazukawa
1
,
Masayoshi Kurachi
1
1富山医科薬科大学精神神経医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Toyama Medical and Pharmaceutical University Faculty of Medicine
キーワード:
Down syndrome
,
Basal ganglia calcification
,
Akinesia
,
Fahr's disease
Keyword:
Down syndrome
,
Basal ganglia calcification
,
Akinesia
,
Fahr's disease
pp.1311-1315
発行日 1989年12月15日
Published Date 1989/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204820
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録 幼少時より重度の精神遅滞と動作の緩慢があり,青年期に入って寡動傾向が目立ち始めたDown症候群女子の1例を経験した。初診の30歳時,筋強剛や深部反射の亢進などの神経学的異常があり頭部CTを施行したところ,尾状核頭部を中心とする左右対称性の大脳基底核石灰化が認められた。血液電解質および副甲状腺機能にとくに異常はみられず,治療として抗パーキンソン病剤を使用したが,l-dopaに一時的に反応したのみで明らかな効果は得られなかった。LH-RHおよびTRH負荷テストにおける異常反応や終夜睡眠脳波でのspindleのprolongationには基底核の石灰化が関連すると考えられた。さらにこの石灰化の原因として循環不全を示唆する臨床症状や理学所見が認められた。本例では大脳基底核石灰化がdopamine伝達に障害をもたらし寡動などの臨床症状が出現したと推定された。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.