古典紹介
Walter von Baeyer:Über konformen Wahn—第1回 同形妄想について
大橋 正和
1
Masakazu Ohashi
1
1新潟大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, Niigata University School of Medicine
pp.923-932
発行日 1988年8月15日
Published Date 1988/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204572
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妄想形成性精神障害の精神病理学(Psychopathologie der wahnbildenden Geistesstorung)についての研究は,どれも今日なお使用した基本概念の明確な命名を必要とする。というのは,妄想の本質と由来について基本的にはなお概念的明瞭性を欠き,ましてや一致が見られないためでもある。この点に関しては研究はまだ全く手探りの状態にある。われわれの試論も,本来的にはいわゆる「一次性」妄想体験(“primares” Wahnerlebnis)の問題を扱うのではなく「二次性」(妄想)加工(sekundare Verarbeitung)という特殊な形式を考慮するが,まず分裂病性妄想形成(schizophrene Wahnbildung)一般の基礎としての一次妄想(Primarwahn)の理論から入っていくのが不可欠である。
異常なかたちで現われ,われわれの正常現存在の内実(Gehalt)注1)と相入れない意味連関の中で,精神病者の精神内界を洞察しようとするとき,われわれの了解意志はつぎの二方向を問題にする。
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