Japanese
English
研究と報告
精神分裂病患者における病棟の空間認知と親密感
Spatial Cognition and Familiarity of Hospital Ward in Schizophrenic Patients
横田 正夫
1
,
町山 幸輝
1
Masao Yokota
1
,
Yukiteru Machiyama
1
1群馬大学医学部神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, University of Gunma Medical School
キーワード:
Schizophrenia
,
Spatial cognition
,
Familiarity
,
Hospital ward
Keyword:
Schizophrenia
,
Spatial cognition
,
Familiarity
,
Hospital ward
pp.1147-1155
発行日 1987年11月15日
Published Date 1987/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204413
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抄録 本論文は2つの研究からなり,研究1では精神分裂病患者の空間認知について,研究Ⅱでは分裂病患者の空間の感情的体験について検討した。研究Ⅰでは対象はDSM-Ⅲの診断基準を満たす分裂病患者6名,医師(正常者)5名であった。各被験者によく知られた病棟内5場所間の距離を推定させ,その評定値からMDSCALによって空間的布置を求めた。分裂病患者,正常者の空間的布置はいずれも現実のものに近似し,分裂病患者では一部に歪みはあるものの正常者とほぼ同様な空間認知ができていることが示された。研究Ⅱでは対象はDSM-Ⅲの診断基準を満たす分裂病患者14名,分裂病患者以外の入院患者(非分裂病患者)8名,看護婦(正常者)10名であった。各被験者に病棟内の7場所間で親しさについて一対比較させた。分裂病患者,非分裂病患者,正常者の3群別に一方の場所が他方の場所より親しめる確率を求め,ThurstoneのケースⅤの解法によって尺度値を求めた。その結果,分裂病患者では病棟内の場所に親しみの感情をもちにくく,場所を親しさによって区別しにくいことが明らかとなった。以上研究Ⅰ,Ⅱより分裂病患者では場所をよく知っていることとそこに親しみの感情をもつことが乖離していることが示された。
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