Japanese
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展望
アタッチメントと社会性の発達—正常と異常(第1回)
The Development of Attachment and Social Relationships: A review (1)
作田 勉
1
Tsutomu Sakuta
1
1慶応義塾大学医学部精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, School of Medicine, Keio University
pp.230-236
発行日 1987年3月15日
Published Date 1987/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204295
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Ⅰ.正常発達
1.はじめに―マターナルデプリベーション
近年,人間の精神的,身体的発達と親子関係の間には密接な関係があることが見出されてきた。その基本となる概念がマターナルデプリベーションであり,愛着行動である。まず,マターナルデプリベーション(母性遮断,母性剥奪,母親剥奪)の概略を以下に記す。
Bowlby, J. が1951年に,乳幼児期における母親の愛情は,ビタミンやタンパク質が身体の健康に不可決であるのと同様に心の健康にとって重要である,と述べ,母性的養育の剥奪(母性遮断)が子供の精神と肉体におよぼす悪影響について総括した。それ以前にも若干の類似の研究や,アナクリティック・デプレッションの研究もあるが,母性遮断についてもっとも大きな影響をおよぼしたBowlby15,18,19,142)と,その後の諸研究ならびに自己の研究を総合して報告したRutter, M. 127)の両名を省略することはできない。
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