Japanese
English
短報
炭酸リチウム投与によると思われる洞機能不全および心筋障害の1症例
A Case of Lithium Carbonate-Induced Sinus Node Dysfunction and Myocardiac Disturbance
門馬 康二
1
,
久松 正美
1
,
穴沢 卯三郎
2
Kouji Monma
1
,
Masami Hisamatsu
1
,
Usaburou Anazawa
2
1日本大学医学部精神神経科教室
2竹田綜合病院精神科
1Department of Neuropsychiatry, School of Medicine, Nihon University
2Takeda General Hospital, Department of Psychiatry
pp.957-960
発行日 1986年8月15日
Published Date 1986/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204202
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
炭酸リチウム(以下Liと略記する)は感情障害の治療薬として本格的に用いられるようになってから約16年たつ。本剤は有効血中濃度と中毒濃度とが近いというリスクがあるが,血中濃度に注意するかぎり,重篤な副作用を来す可能性はないものとみなされている。しかし,有効血中濃度の範囲内であるにもかかわらず洞機能不全が出現するという報告も内外にあり,Li治療中の定期的なECG検査の必要性が指摘されている。最近われわれはLi治療中に一過性の重篤な洞機能不全が出現したうえ,心筋炎と考えられる所見を呈した症例を経験した。Liによる心筋炎については本邦では今日まで報告されておらず,外国にもわずかしかない1,19,22,23)ので,ここに報告する。
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.