Japanese
English
短報
炭酸リチウム投与中に洞機能不全を来たした1例
A Case of Sinus Node Dysfunction during the Lithium Carbonate Treatment
切池 信夫
1
,
木岡 哲郎
1
,
福島 淳
2
,
井上 幸紀
1
,
副島 清史
1
,
秋岡 要
3
,
竹内 一秀
3
,
川北 幸男
1
Nobuo Kiriike
1
,
Tetsuro Kioka
1
,
Jun Fukushima
2
,
Koki Inoue
1
,
Kiyofumi Soejima
1
,
Kaname Akioka
3
,
Kazuhide Takeuchi
3
,
Yukio Kawakita
1
1大阪市立大学医学部神経精神医学教室
2北野病院精神科
3大阪市立大学医学部第一内科学教室
1Department of Neuropsychiatry, Osaka City University Medical School
2Kitano Hospital
31st Department of Internal Medicine, Osaka City University Medical School
pp.1331-1335
発行日 1989年12月15日
Published Date 1989/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204823
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I.はじめに
炭酸リチウム(以下リチウムと略す)の心臓血管系に対する副作用の報告は,神経系や腎機能に関するものに比べて極めて少ない。リチウムによる心電図上の変化としては,治療濃度において可逆的なT波の平坦化や逆転,QT延長,洞房ブロック,房室ブロック,心房および心室性期外収縮などが,中毒濃度においてはこれらに加えて右脚ブロック,心房粗動,心室細動などが報告されている11,17,19)。
今回我々は,13年間にわたりリチウム療法を受けていたところ,リチウム中毒と洞房ブロックによる徐脈性不整脈をきたし,リチウムの減量によりこれらの改善を認めた躁うつ病の1例を経験した。リチウムと洞機能不全の関係について若干の文献的考察を加えて報告する。
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