Japanese
English
研究と報告
他人の話し言葉を聴くことを主な誘因とするてんかんの1症例
A Case of Epilepsy Provoked Mainly by Listening to Spoken Language
高橋 幸男
1,2
,
土谷 隆
3
,
菅原 輝男
3
Yukio Takahashi
1,2
,
Takashi Tsuchiya
3
,
Teruo Sugawara
3
1隠岐病院
2鳥取大学医学部神経精神医学教室
3岩手県立南光病院
2Department of Neuropsychiatry, Tottori University School of Medicine
3Iwate Prefectural Nanko Hospital
キーワード:
Reflex epilepsy
,
Voice-induced epilepsy
,
Heard-word epilepsy
,
Myoclonic seizures
Keyword:
Reflex epilepsy
,
Voice-induced epilepsy
,
Heard-word epilepsy
,
Myoclonic seizures
pp.81-89
発行日 1986年1月15日
Published Date 1986/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204090
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抄録 他人の話し声を聴くことが主要な誘因であるが,話すことや書くこと,稀には暗算も誘因となるてんかんの1例(39歳,女,右手利き)を経験し,その臨床・脳波所見について報告した。
種々の聴覚刺激を行なったが,特に言語刺激によって明らかな発作波と臨床発作が誘発された。誘因となる声は,周囲の誰の声でもよく,単音よりは単語や句,さらに会話形式で直接患者に話しかけた時が最も明瞭な発作と発作波の誘発をみた。このことから誘因としては,「声」よりも「言葉」を聴くことが重要と思われた。さらに注意の集中,情動,精神的緊張なども発作波の賦活に影響することが示された。誘発された発作波は,左前頭・中心部優位の両側性棘・徐波複合で,容易に全般化した。言語刺激から発作波までの潜時は平均約580msecであった。発作波に対応し右口角部のミオクロニーを認めた。
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