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特集 摂食障害の心理と治療
摂食障害の心理と治療—精神療法的接近をめぐる今日的主題
Psychodynamics and Psychotherapy of Eating Disorders
遠山 尚孝
1
,
石川 義博
1
Naotaka Toyama
1
,
Yoshihiro Ishikawa
1
1東京都精神医学総合研究所
1Psychiatric Research Institute of Tokyo
pp.1338-1342
発行日 1985年12月15日
Published Date 1985/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204047
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この小特集は,われわれの研究所で行った小シンポジウム「摂食障害の心理と治療」において,各演者が当日発表したものをもとに新たに筆を起こしたものからなっている。神経性無食欲症を中心とする摂食障害については,すでに本誌でも下坂幸三による総説26),補論27)があり,臨床精神医学誌11,16,28,32),季刊精神療法誌4,19)でも特集が組まれたことがあるが,今回かようなシンポジウムを催しここに報告を行うわれわれの意図を,初めに簡単に記すことにしたいと思う。
本症者の示す特異な病像,病態,あるいは特有の精神的態度に関しては,ここ20年来の諸家の研究報告によって,今やわれわれは豊富な知見を手にしているといえるであろう。Meyer, J. E.(1961)が思春期やせ症Pubertats-magelsuchtの概念を提示して成熟危機と成熟した女性になることのためらいが見られるとし,Bruch, H.(1962)が身体内臓感覚の認知,ならびに身体像の障害,無力感という3要因によって本症を特徴づけたが,時を同じくして本邦では下坂(1961)が,成熟嫌悪,幼年期への憧景,男子羨望,厭世的観念,そう身希求,禁欲主義,主知主義等,7っの特有な精神的態度を見出して,その後の研究の基礎づけを与えた。従来発症頻度がごく少ないと考えられていた本症が,次第に増加する傾向を示して数多くの報告6,8,22,23,30)がなされるようになっても,大筋ではこれらの知見を追認しあるいは補完するものであった。
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