Japanese
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特集 DSM-III—その有用性と問題点
Personality Disorders(パーソナリティ障害)
Clinical Usability of DSM-III: Personality Disorders
笠原 嘉
1
Yomishi Kasahara
1
1名古屋大学医学部精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, Nagoya University School of Medicine
pp.153-158
発行日 1984年2月15日
Published Date 1984/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203716
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I.まえおき
DSM-IIIの特色の一つにpersonality disordersの項の充実を挙げることに,おそらく何人も反対はないであろう。その充実には二つの側面がある。一つは内容面に関してであって,ドイツ流のSchneiderの精神病質類型はもとより,ICD-9とも大ぎく違った新しいタイプが記述されていること,もう一つは,内容面に対して形式面といってよいと思うが,従来のようにpersonality disorderがpsychosesやneurosesと並ぶ並列的小項目とされるのではなく,すべての精神疾患に際して考慮されるべき大項目としていわば「格上げ」されていること,つまり五軸評価申の第二軸という大きなウェイトを与えられていることである。ちなみに五軸とは「症状」(第一軸),「パーソナリティ障害」(第二軸),「身体所見」(第三軸),「発病に先立つストレス」(第四軸),「発病に先立つ社会適応度」(第五軸)である。ICD-9中ではこれに対し「神経症,パーソナリティ障害およびその他の非精神病性精神障害(300-316)」の中の一項(301)がその位置であって,これがまずは穏当な従来の考え方であった。以下「第二軸」の問題から先に入り,各論的内容的な問題を後にしたい。
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