Japanese
English
研究と報告
部分発作重積,片麻痺などの症状を呈した糖尿病の1例
A Case of Diabetes Mellitus with Partial Convulsive Seizures (Status Epileptics), Hemiplegia and Othcr Focal Signs
藤原 洋子
1
,
大山 繁
1
,
宮川 太平
1
,
服部 英世
2
Yoko Fujihara
1
,
Shigeru Oyama
1
,
Taihei Miyakawa
1
,
Eisei Hattori
2
1熊本大学医学部神経精神科
2内藤病院
1Dept. of Neuropsychiatry, Kumamoto University School of Medicine
2Naito Hosp
キーワード:
Diabetes mellitus
,
Epileptic nystagmus
,
Focal sign
,
Electroencephalogram's change
,
Cerebral vulnerability
Keyword:
Diabetes mellitus
,
Epileptic nystagmus
,
Focal sign
,
Electroencephalogram's change
,
Cerebral vulnerability
pp.653-661
発行日 1983年6月15日
Published Date 1983/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203604
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抄録 意識障害・部分発作重積・片麻痺・幻視・同名性半盲などの多彩な精神神経症状を呈した糖尿病の1例を報告した。
患者は約10年間の糖尿病歴を有する40歳の女性で,過去にてんかん発作の既往はなく,分娩を契機として,高血糖とともに意識障害・眼振発作を伴う部分発作の重積。左片麻痺および著明な脳波異常を示した。これらの症状は抗てんかん薬では効果なく,インシュリンによる糖代謝改善とともに消失した。また本例ではその経過中偶発的に生じた低血糖状態において,左側の同名性半盲と同側の幻視および図型模写障害などが出現したが,血糖値の是正によりこの症状は消失した。
本例にみられた脳局所性精神神経症状の発現機序に関して考察を行なった。その結果,本例ではインシュリン不足あるいは低血糖のための糖利用障害という代謝性因子が付加されることにより,右半球に存在していた何らかの脆弱部位の症状が発現したものと考えた。
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