Japanese
English
研究と報告
本態性振戦に合併してみられたうつ状態の2症例—精神病理学的考察
Two Cases of Depressive State with Essential Tremor
高岡 健
1,2
,
三上 泰史
3
Ken Takaoka
1,2
,
Taishi Mikami
3
1岐阜大学医学部神経精神科
2黒野病院
3岐阜南病院
1Department of Neuropsychiatry, Gifu Univ. School of Medicine
2Kurono Hospital
3Gifuminami Hospital
キーワード:
Benign essential tremor
,
Neurotic statepDepressive state
,
Psychopathology
Keyword:
Benign essential tremor
,
Neurotic statepDepressive state
,
Psychopathology
pp.741-747
発行日 1982年7月15日
Published Date 1982/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203443
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抄録 本態性振戦(benign essential tremor,BET)に合併してみられたうつ状態の2症例を,その病前性格・発病状況・治療および経過を検討しつつ報告した。BETとうつ状態の合併例はこれまで報告が少なく,検討も不十分である。われわれは,2つの症例について,BETとうつ状態の持つ意味を検討する中から,①BETの振戦症状はうつ状態の背景に認められる神経症傾向と相関して消長していること②振戦症状はうつ状態へと至る発病状況の1つの要因を構成していることを指摘し,考察を加えた。そしてBETの患者の構成する世界の安定性が危機化する度合に応じて,振戦が状況構成された世界の内部に秩序づけられることができず,世界の外部に違和として表われるようになることがBETとうつ状態を精神病理学的に関係づけていることを述べた。
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