Japanese
English
展望
フラッシュバック現象—主としてその臨床面について
Flashback phenomenon: Especially on its clinical aspects
中田 修
1
Osamu Nakata
1
1東京医科歯科大学犯罪精神医学研究室
1Dept. of Criminal Psychiatry, Tokyo Med. & Dent. Univ.
pp.686-697
発行日 1982年7月15日
Published Date 1982/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203437
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I.はじめに
最近,ふたたび覚せい剤乱用が大きな社会問題となり,ことに覚せい剤中毒者による凶悪な犯罪が世人の注目を浴びている。これと関連して,覚せい剤中毒にも見られるフラッシュバック(flashback―以下Fbと略記する)現象が世間の大きな関心を呼んでいる。
筆者はたまたま昭和56年7月に厚生省の依頼で「覚せい剤中毒の診断基準及び治療に関する研究班」の班長になり,6名の班員とともに種々の問題について検討し,昭和57年2月に報告書を提出した。この研究班で検討された問題のなかに,覚せい剤中毒のFbというテーマがあり,これを契機に筆者もFbに関する文献を渉猟する機会をもった。その際,加藤伸勝京都府立医大教授や小田晋筑波大教授に一方ならぬ御高配を忝くした。
Fb現象についてはとくに加藤の総説24)が有益であり,筆者がこれから書く拙文はそれに多くを加えることはないと思う。多少とも加えるところがあれば,Fb現象がLSDに発見されたことの歴史に立ち入るために古い文献も少し紹介できたことと,1970年代の比較的新しい文献を若干追加できたことであろう。
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