特集 Butyrophenone系抗精神病薬の臨床精神薬理学
Syndrome Malin
荻田 和宏
1
Kazuhiro Ogita
1
1慶応義塾大学医学部精神神経科
1Dept. of Neuro-psychiatry, School of Medicine, Keio Univ.
pp.1229-1237
発行日 1980年11月15日
Published Date 1980/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203183
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Ⅰ.序
向精神薬の稀ではあるが重篤な副作用の一つに悪性症候群syndrome malin(以下SM)があり,1960年来仏語圏中心に症例報告がなされている1〜11)。SMは向精神薬投与と関連した持続性高熱,錐体外路系を中心とした神経症状,自律神経系のdysfunctionに起因すると考えられる重篤な心・循環系症状を呈し,ときに致死性である。本邦では1974年の筆者らの症例報告12)に続いて相当数の報告13〜35)があり,最近では,米国においてもSMに対する関心が高まって来ている26〜32)。
butyrophenone系薬剤ではhaloperidol(以下HPD)が特にSMを惹起しやすいと言われている。本稿では,本邦報告例を中心として,HPDの本症発症への関与度,HPDのみに特有の症状,経過,転帰などが認められるか否かなどの点に留意しながら,本症候群全般を概説した。
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