Japanese
English
特集 幻覚
脳器質性疾患と幻覚
Organic Brain Psychosis and Hallucination
保崎 秀夫
1
Hideo Hosaki
1
1慶応大学医学部精神神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Keio Univ. School of Medicine
pp.27-34
発行日 1980年1月15日
Published Date 1980/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203046
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I.はじめに
器質脳疾患における幻覚29)については今までは脳局在病変と幻覚,意識障害と幻覚という関係で論じられてきており,この面では,幻覚(とくに幻聴に)に対する論議は色あせたものになろうとすでに筆者が述べたことであるが,ただ器質脳疾患における幻覚といってよいかどうかわからぬが進行麻痺患者における幻覚妄想様病型変化は注目に値するものと思う。そこで筆者が入局後間もなく経験した進行麻痺患者の幻覚妄想様病型変化の症例を通して幻聴,偽(仮性)幻聴を中心にまず考察してみることにする。現在は進行麻痺患者は数少なく,したがって幻覚妄想様病型変化もほとんどみられなくなっているが,第二次大戦後には相当数みられた。その際に幻覚が急速に発現する過程がはっきりとみられることがあり,その経過を詳細に観察すると大変面白かった。次にその症例を述べてみる。
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