特集 精神分裂病の生物学
序論
島薗 安雄
1
Yasuo Shimazono
1
1東京医科歯科大学医学部神経精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Tokyo Medical and Dental Univ. School of Medicine
pp.1154
発行日 1979年11月15日
Published Date 1979/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203009
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精神分裂病の発病に関して,生物学的要因を重視するか,あるいは心理的・社会的な因子をより重要なものと考えるか,という点については,精神科医の間でも意見は一致していない。この問題については,歴史的にみても,時代によっていろいろと変動があったようである。
しかし十分に吟味された基礎資料もなしに,これを論じてみても,それは徒らに時間を空費するに過ぎないと思われる。幸いに今日では,その一方のみを唯一の要因として主張する人は少なく,各々がそれなりに意味をもっていると考えている人が多いようである。筆者自身も,すでに他の機会に何回か書いたように脚注),分裂病の発症や経過に対しては,生物学的基盤と,心理・社会的な要因が関与し合うという立場に立って診療や研究を進めている。また「精神分裂病の生物学」という,この特集のテーマにしても,同じような考えが基礎をなしているものと考えたい。
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