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研究と報告
向精神薬長期服用者の自律神経機能—第3報 心・血管運動機能に関して
The Autonomic Nervous Function of Schizophrenic Patients on the Long-term Administration of Psychotropic Drugs: Part 3: With special reference to cardiovascular function
岡田 文彦
1,2
,
大宮司 信
2
,
木下 真二
3
,
山鼻 康弘
4
Fumihiko Okada
1,2
,
Makoto Daiguji
2
,
Shinji Kinoshita
3
,
Yasuhiro Yamahana
4
1北海道大学保健管理センター
2北海道大学医学部精神神経科
3北海道大学医学部第二内科
4札幌啓生会病院
1Health Administration Center, Hokkaido Univ.
2Dept. of Psychiatry & Neurology, Hokkaido Univ. School of Medicine
3The 2nd Dept. of Internal Medicine, Hokkaido Univ. School of Medicine
4Sapporo Keiseikai Hospital
pp.161-168
発行日 1979年2月15日
Published Date 1979/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202893
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I.はじめに
われわれは種々の向精神薬と抗パーキンソン剤(抗パ剤)を長期間多量に服用している患者の自律神経機能について検討を加えているが,これまでに,その一部として,瞳孔機能に関する検索結果を報告してきた1〜5)。また一連の研究の第1報には,一地方都市の総合病院併設精神科に入院あるいは通院中の患者における心・血管運動機能を検索した結果についても言及した1)。すなわち,調査しえた入院患者50名中,起立による収縮期血圧が臥位の血圧の22%以上低下する症例が約1/4も認められた。このような起立性低血圧の出現は向精神薬による血管壁の交感神経αリセプターのブロック作用によるものと推定される。ところで向精神薬の心・血管系への影響に関して,頻脈や心電図変化などの報告6〜8)は多いが,体位変化に伴う心・血管系の動的変化との関連で向精神薬の影響を検討した報告はきわめて少ない9)。本報告では,向精神薬と抗パ剤を長期間服用中の患者について,体位変化による脈拍数,血圧,心電図T波高の変動を,β遮断剤併用の前後で検討を加えた結果について述べる。さらに,β遮断剤併用による交感神経活動の変化を調べる目的で血漿ドーパミン・β・水酸化酵素(DBH)活性,交感神経および副交感神経のリセプター側の反応を知る目的で,それぞれ血漿cyclic AMPおよびcyclic GMP濃度を検索した結果も報告する。
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