Japanese
English
特集 精神鑑定
パラノイアの法的能力
Über die rechtlichen Fähigkeiten der Paranoia
山上 皓
1
Akira Yamagami
1
1札幌少年鑑別所
1Sapporo Jugendunterscheidungsanstalt
pp.1333-1338
発行日 1978年12月15日
Published Date 1978/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202863
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Ⅰ.緒言
著者は東京医科歯科大学犯罪精神医学研究室に在職中に,妄想に基づいて殺人を犯した一パラノイア患者の精神鑑定に従事した。これはピアノ殺人事件として世人の関心を大きく喚起した症例である。
E. Kraepelin14)によって,「内的原因による,持続工的で確固とした妄想体系の潜行性の発展であり,その際,思考・意志・行為において明晰さと秩序が完全に保たれている」と定義されたパラノイアについては,周知のように,その後精神医学者の間で多くの論議が交わされてきた。K. Schneider22),W. Janzarik9),G. Huber8)らは,これを体験反応性のものと病的過程性(精神分裂病性)のもののいずれかに二者択一的に分類しうるとし,特殊疾患としてのパラノイアを否定する見解を示しているが,R. Gaupp5)をはじめとし,パラノイアに独自の疾患としての地位を認めようとする学者もまた少なくない10〜12)。
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