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研究と報告
分裂病の前青年期について—FreudとSullivanのパラノイア論の比較
On the Pre-adolescence of Schizophrenia: A comparison of the theory of paranoia with Freud and Sullivan
阪本 健二
1
Kenji Sakamoto
1
1阪本病院
1Sakamoto Psychiatric Hospital
pp.1261-1265
発行日 1975年12月15日
Published Date 1975/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202403
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わが国における精神分裂病に対する精神療法的実践の現況をみると,そこにはやはり試行錯誤的状態や,ある程度の混乱が存在するように考えられる。そして私には,その理由の一つとして精神分裂病の力動の治療的理解についての意見の多様性や混乱が,その背景として存在していると思えるのである。
それにつけても,私の見方からすれば,精神分裂病の力動的理解の一つの柱となったSigmund Freudのパラノイア理論は,その天才的洞察にもかかわらず,彼の同性愛学説,非性欲化・性欲化理論,また,昇華学説のもつ難点,投影の必然性についての難点,および何にもまして精神分裂病に対する彼の治療的ニヒリズムの故に,ひろく精神科医一般に受け入れられるものとはなっていないようである。
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