Japanese
English
研究と報告
躁うつ病様状態で初発したWilson病の1例
A Case of Wilson's Disease Started with Manic and Depressive State
大沼 悌一
1,2
,
藤岡 邦子
1
Teiichi Onuma
1,2
,
Kuniko Fujioka
1
1弘前大学医学部神経精神医学教室
2現在国立武蔵療養所
1Dept. of Neuropsychiatry, Faculty of Med. Hirosaki University
2National Musashi Research Institute for Mental and Nervous Disease
pp.553-560
発行日 1978年5月15日
Published Date 1978/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202767
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I.はじめに
Wilson病でさまざまな精神症状が出現することは,1914年Wilsonの記載以来よく知られている事実である。これらの精神症状の主なものは,感情不安定,多幸症,強迫笑,強迫泣などの感情障害ならびに知能障害や性格変化などである。また精神分裂病様状態や躁状態またはうつ状態を示した症例の報告もあるが,これらのほとんどは,神経症状に遅れて出現し,いわゆる脳器質性精神障害として理解されうるものであり,いわゆる内因性精神病様状態で初発した例は極めて少ない。著者らは最近明らかに躁ならびにうつ状態の両相を繰り返す形で発症し,後に典型的なWilson病に至った症例を経験したので,精神症状の推移を中心に報告する。
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