Japanese
English
研究と報告
ナルコレプシーと慢性幻覚妄想状態を呈した進行麻痺の1例
A Case of General Paresis with Narcolepsy and Chronic Hallucinatory: Paranoid State
小川 一夫
1
,
日下部 康明
1
,
横井 晋
1
Kazuo Ogawa
1
,
Yasuaki Kusakabe
1
,
Susumu Yokoi
1
1群馬大学医学部精神神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Gunma Univ. School of Med.
pp.965-971
発行日 1977年9月15日
Published Date 1977/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202662
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I.はじめに
進行麻痺の主軸症状は,脳の器質的損傷による人格の崩壊と知的機能の低下とされているが,近年比較的早期に発見できることや,penicillin等抗生物質が用いられよく奏効することなどのため,非定型的な病像を呈するものが増えているようである1,2)。
ここに報告する症例も,こうした非定型的病像を呈した進行麻痺の1例である。すなわち,本症例は梅毒罹患後約7年目で易怒性,乱買癖などの人格変化と,ナルコレプシーの主症状を示し,さらに10数年後頃より入眠時幻覚などを基礎として妄想を発現,その後10年の経過の中で確固とした誇大的,被害的妄想体系を構築したが,知的機能の低下はさほど顕著ではない50歳女子の1例である。
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