Japanese
English
研究と報告
著明な幻覚・妄想体験を示したナルコレプシーの1例
A Case of Narcolepsy marked by Hallucinations and Delusions.
大月 三郎
1
,
細川 清
1
,
洲脇 寛
1
Saburo Otsuki
1
,
Kiyoshi Hosokawa
1
,
Hiroshi Suwaki
1
1岡山大学医学部神経精神科教室
1Dept. of Neuropsychiat., Okayama Univ., School of Med.
pp.913-920
発行日 1968年11月15日
Published Date 1968/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201407
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
ナルコレプシーの症状と徴候については,種々の総説に詳しく記載されているところであるが(Wilder1),Heyck u. Hess2),Rennert3)),症状のうちで幻覚体験の特異性が注目され(Munzer4),Rosenthal5),臺6))脳脚幻覚症(L' hermitte7))との類似性や,睡眠と覚醒との解離,精神機能と運動機能との解離などが,臨床像から推定されてきた。この推定は最近の睡眠ポリグラフによる生理学的研究の進歩8)〜10)に伴つて明らかにされつつある。われわれは,著明な幻覚,妄想体験を示し,その内容を言語化して伝えうるナルコレプシーの1例を,14歳時と28歳時に詳細に観察する機会を得た。したがつて,この症例における症状と徴候を記載し,幻覚と妄想体験との関係について考察するとともに,睡眠脳波を含めた臨床脳波的検索による所見について報告する。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.