古典紹介
—A. Pick—Senile Hirnatrophie als Grundlage von Herderscheinungen
山縣 博
1
Hiroshi, Yamagata
1
1埼玉医科大学精神神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Saitama Medical School
pp.1313-1317
発行日 1975年12月15日
Published Date 1975/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202409
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私は1892年,はじめてPrager Medizinische Wochenschriftで,そしてその後また多くのこれを確証する出版物(私の》Beiträge《1898参照)のなかで,ある限局的に強調された老人性脳萎縮を基盤として,特殊な脳局在症状が発展することがありうる事実を確認したが,その後この事実は,ただ病理解剖学的だけでなく,たびたび他の方面からも,たとえば最近Liepmann(Neurologisches Centralblatt 1900)がしたような,すでに生前から死後の剖検によって正当性が立証できる,ある局在診断の出発点ともなりうることをも確認されてきた。
ここでは,ふたたびこの限局性老人脳萎縮の問題に深入りすることは避けて,1893年Wernickeによって再度うち出された重要な文章(それについては註解で参照してもらうが原注1)),その文章が普遍性という点では否定できると思えることについて説明しよう。それからさらに私がとり上げたいのは,この事実をよく観察していると,たびたび引き合いに出されてきた,対応する脳所見を欠如した病巣罹患の症例数というものは,根本的に減らさなければならないということである;ごく最近の文献からも該当する例を選び出して,上に述べた事実のなかにその解明を求めることは容易なことだと思う。
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