原著
Angioma senile des freien Lippenrandes(Pasini)
石川 謹也
1,2
Kinya ISHIKAWA
1,2
1川崎市立川崎病院皮膚科
2慶応義塾大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Kawasaki City Hospital
pp.845-849
発行日 1974年12月1日
Published Date 1974/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201372
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83歳男子及び71歳女子のそれぞれ下口唇に単発したAngioma senile des freienLippenrandesと考えられる症例を報告した.いずれも下口唇の左側で正中部に近く,半球状ないし軽度に隆起した径1.0cm以下の暗紅色腫瘍で硝子圧により容易に扁平化するが,圧を去ることにより旧に復する.組織学的に真皮乳頭下層から筋層に及ぶ大小さまざまに拡張した血管の断面が認められ,諸処に絨毛状に内皮に囲まれた結合織部が管腔内に突出している.血管壁は薄く,その内壁は扁平化した内皮細胞から成り,筋線維は認められない.弾力線維は僅かに外膜部に認められる.
2自験例から,主としてPasiniの記載にしたがつて,本症の臨床像,病理組織所見及び発生機序について紹介すると共に,老人性血管腫,venous nakeなどを挙げて類症鑑別した.
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