Japanese
English
研究と報告
Capgras症候群の1例
A Case of the Capgras Syndrome
原 俊夫
1
,
佐藤 喜一郎
1
,
松見 達俊
2
Toshio Hara
1
,
Kiichiro Sato
1
,
Tatsutoshi Matsumi
2
1北里大学医学部精神神経科教室
2常盤病院
1Dept. of Neuropsychiatry, Kitasato Univ. School of Med.
2Tokiwa Hospitai
pp.1193-1201
発行日 1973年11月15日
Published Date 1973/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202102
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I.はじめに
1923年にフランスの精神医学者Capgras and Reboul-Lachaux2)がl'illusion des sosies(替玉妄想)として,患者の身近にいる人物,多くの場合患者の夫が,いつの間にか瓜ふたつの替玉に取りかえられているという症状を報告した。Capgrasand Carrette3)は1924年にも第2例を報告し,これをFreudのエディプス・コンプレックスの機制で説明しようとした。これが一つの契機となり,Courbon and Fail8)によりl'illusion de Fregoli(変装妄想)なる症状も報告され,いわゆる“替玉”であると妄想的に解釈する症状についての議論がヨーロッパにおいてさかんになり,Vie(1930)21)やEnoch(1963)10)のまとめもあり,最近でも外国では1例報告などが行なわれている。
本邦においては木村ら14)が「家族否認症候群について」という論文の中で論じている症例は,夫否認という症状はあっても瓜二つの替玉であるとはいっていないし,また高柳18)の論文の副題にCapgras症候群という名称は入っているものの,それに相当する症例はあげていない。
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