Japanese
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研究と報告
日内活動記録法によるヒトの24時間睡眠・覚醒リズムの研究—第1報 方法と結核病棟入院患者,脊髄損傷患者,老人ホーム入居者についての調査
A Study of the Human Sleep-wakefulness Rhythm by using a Self-recording Diurnal Activity Table : (1) Methods of Study and Results on Inpatients with Chronic Pulmonary Tuberculosis, with Spinal Cord Lesions and Residents in an old People's Home
大熊 輝雄
1
,
小椋 力
1
,
竹下 久由
1
,
下山 尚子
1
,
井上 寛
1
Teruo Okuma
1
,
Chikara Ogura
1
,
Hisayoshi Takeshita
1
,
Naoko Shimoyama
1
,
Hiroshi Inoue
1
1鳥取大学医学部神経精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Tottori Univ. School of Med.
pp.607-616
発行日 1973年6月15日
Published Date 1973/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202032
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I.はじめに
生体には各種のリズム的現象がある。たとえば遅いリズムとしては冬眠動物の年1回の活動リズム,女性のほぼ月1回の性周期など,速いものでは呼吸,心拍,脳波などがあり,生体機能のかなりの部分はリズム的現象によって営まれている。これらの生体リズムのうちでも,睡眠・覚醒リズムは,生命の維持にとってきわめて重要であると思われる。
近年,神経生理学とくに脳波学の発達にともない,睡眠の段階に応じて脳波が特徴的な変化を示すことがわかり,睡眠時に脳波を連続的に記録することによって睡眠を客観的に記録,観察することが可能になってきた。さらにAserinsky1),Kleitman1),Dement2),Jouvet3)らによって,REM睡眠期(賦活睡眠期,逆説睡眠期,パラ睡眠)が発見され,その生理学的,心理学的重要性が明らかになって以来,神経生理学的方法による睡眠の研究がひろく行なわれるようになった。その結果,夜間睡眠時に脳波,眼球運動,筋電図その他の生理学的現象を同時に記録する「終夜睡眠ポリグラフィ」の方法が発達し,この方法によって正常者および各種疾患における睡眠の実態がかなり正確に把握されるようになった。
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