巻頭言
Sergei Sergeevich Korsakov
今泉 恭二郎
1
1徳島大学医学部神経精神科
pp.882-883
発行日 1972年10月15日
Published Date 1972/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201940
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私がソ連の唯一の神経精神医学専門雑誌の名称に,S. S. Korsakovの名を冠してあるのを知ったのは,20年前であった。唯一の専門雑誌の名称にその名を冠するほどだから,コールサコフ病やコールサコフ症候群でしか知らない彼が偉大な学者で,ロシア-ソ連の精神医学史上でも第一にあげらるべき臨床家であっただろうことは,その時から考え続けていたことであるが,今までそのことを調べずじまいに過ごしてきた。今度少し調べてみると,Korsakovの名は,症候群の名称のうえだけでなく,理論のうえからも実践のうえからも,世界の精神医学史上忘れてはならないことがわかった。常識的には随分見当違いの巻頭言に,あえてこの人のことを書こうとするゆえんである。
Korsakovは1854年に生まれ,1875年モスクワ大学を卒業後,A. Ya. Kozhevnikovの下で,モスクワ大学神経病クリニクで主任医師として3年間働いた。その後の10年間は,モスクワPreobrazhensky精神病院で働き,1888年からモスクワ大学医学部で講義を始め,1892年から教授としてそのクリニクの指導者となった。この間1887年に,「アルコール性麻痺」というテーマで学位を受けている。1900年,46年の短い生涯を終えた。
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