特集 てんかん分類へのアプローチ
精神運動発作 討論のまとめ
岡本 重一
1
1関西医大精神科
pp.417-418
発行日 1972年5月15日
Published Date 1972/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201887
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演者が,豊富な経験例の中からとくに珍しい症例や問題例を提示された関係もあり,まず症例に関連した発言が多かった。
症例1の入浴てんかんに関し,清野昌一氏(国立武蔵療養所)はてんかん病棟での経験から,確かに入浴が誘因で発作を起こす例のあること,入浴中とくに入浴後に多く発作型は精神運動発作以外に大発行や焦点発作もあることを述べ,その機序についての意見をただしだ。これに対し,大沼悌一氏は,症例1はReflex-epilepsyと考えているが,入浴中ことに入浴後に起こるものは過呼吸その他の要因も考えられると答えた。福山幸夫氏(東京女子医大小児科)は,入浴を契機として発作を起こす数例を経験しているが,いずれも大発作で乳児に限られていること,ドイツではBadenkrampfという名称のあること,第3回アジア大洋州神経学会に3題出題されていることを追加した。さらに,丸山博氏(松戸クリニック)は3例のBadenepilepsieを経験しているが乳児以外に年長児例もあること,今年始めのNeurology誌にも報告例のあることを追加し,症例1とfamilial dystonic choreoathetosisやhypoparathyreoidismとの鑑別についてたずねた。これに対し,大沼氏は,症例1では精神運動発作の様相を帯び,ことに明らかなoral automatismと発作後のもうろう状態があり,間歇期にてんかん性異常脳波を認める点でchoreoathetosisと異なり,また血中CaやPは正常範囲であったと答えた。
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