特集 てんかん分類へのアプローチ
てんかん分類の問題点 討論のまとめ
岡本 重一
1
1関西医大精神科
pp.425-426
発行日 1972年5月15日
Published Date 1972/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201889
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福山幸夫氏(東京女子医大小児科)は,てんかん発作の国際分類に小児神経学者の意見が充分に盛りこまれていない。例えば,1964年の分類案ではinfantile spasmがぬけており,結局69年案ではじめて加えられているが,現在clinical entityとみなされているLennox' syndromeなどもこの分類ではどこに入れるべきなのか,とに角一つの項目が与えられておらず,unilateral or predominantly unilateral seizuresも小児科では稀なものではないが(最初から半身痙攣ではあるが意識喪失を伴い,focal onsetではなく,部分てんかんという大脳局在論から説明し難い変わった発作型を示す),その項目の意義が認められていない。つまり,大脳生理学的な立場が強く,脳の発達的視点が欠けており,分類を通じて,縦軸と横軸の中の一つが組入れられていないのではないかとの印象をうけると述べた。
秋元波留夫氏(国立武蔵療養所)は,国際分類がやはりseizure中心になっていることを指摘し,てんかんの脳内機序を考えるとき,発作時だけでなく,間歇期の状態,例えばはっきりしたてんかん精神病でなくても行動面での種々の問題を見のがすことはできない,したがって,てんかん患者の精神面への注目,その分類への反映がきわめて重要で,単に発作だけでなく全人格・全行動にそのような異常なdischargeの及ぼす影響を検討する必要がある,これが分裂病の研究にも役立つと思うと強調した。
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