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Ⅰ.序論:oxypertineの生化学的特徴について
近年生物学的活性アミンすなわちカテコールアミン(norepinephrine;NE,dopamine;DA,など)およびインドールアミン(serotonin;5-HT)に関しての研究が進み,脳内においてこれらのモノアミンが神経興奮の化学伝達物質あるいはそのmodulatorとして,acetylcholineなどとともに脳機能に重要な役割をはたしている可能性が検討されている。またこれらの脳内アミンの各種情動状態にともなう変動に関する知見も多くなると同時に今まで作用機序の不明であつた向精神薬のこれら脳内アミン代謝におよぼす影響も明らかになりつつある。たとえばいわゆる抗うつ剤は脳内のadrenergic receptorに働くNEの量を増加させることによりその作用をあらわし,リチウム塩はreceptorに働くNEの量を減少させることによつて躁状態を調整する作用をあらわす可能性が考えられている19)。
他方,1952年にOsmond and Smythies18)がmescalineによつてひきおこされる精神異常と精神分裂病との類似性ならびにmescalineとepinephrine(E)の構造上の類似性を指摘して以来(第1図),これらいわゆる精神異常惹起物質と生体内アミン代謝との関連性が追究されるようになつた。とくに代表的な精神異常惹起物質であるLSD-25ほかpsilocybin,bufotenin,N,N-dimethyltryptamineなどはいずれもその構造に5-HTと同じくインドール核をもつこと(第1図)から生体内でインドール核をもつ物質の代謝異常が多大の興味をよび,tryptophan,5-HTならびにその代謝産物が正常人および精神疾患をもつものについて追究されてきた。しかし14C-5-HTを用いた実験では精神分裂病と正常人との間に5-HT代謝に異常はみられなかつた反面,1-tryptophanを負荷した分裂病患者でtryptophan代謝の異常がみられたという報告もあり3)13),まだ一定した結論は得られていない。
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