Japanese
English
研究と報告
短縮した月経周期に伴って周期性に反復するうつ病の1例
A Case of Recurrent Depression with Reduced Menstrual Phase
内富 庸介
1
,
山脇 成人
1,2
,
矢野 栄一
1
,
岡嶋 詳二
1
,
寺川 信夫
1,3
,
北野 博子
1
Yosuke Uchitomi
1
,
Shigeto Yamawaki
1,2
,
Eiichi Yano
1
,
Shoji Okajima
1
,
Nobuo Terakawa
1,3
,
Hiroko Kitano
1
1国立呉病院精神科
2現広島大学医学部神経精神医学教室
3現上野病院
1Division of Psychiatry, Kure National Hospital
2Department of Psychiatry, Hiroshima University of Medicine
3Ueno Hospital
キーワード:
Recurrent depression
,
Biological rhythm
,
Menstrual phase
,
Lithium
Keyword:
Recurrent depression
,
Biological rhythm
,
Menstrual phase
,
Lithium
pp.735-740
発行日 1990年7月15日
Published Date 1990/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902874
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録 精神運動抑制と睡眠障害を主病像とする約10日間のうつ病相を,短縮した月経周期に併せて周期性に反復する症例を経験したので時間生物学的観点から検討した。基礎体温の測定結果から,病相は月経周期の高温相から低温相にかけて存在した。特徴的な臨床所見として病相が終結する前後に必ず一昼夜覚醒もしくはそれに近い状態が存在し,それに伴い急激に病相が改善されたことなどである。睡眠障害は病相に関係なく存在し,それは入眠困難と睡眠相の遅れを特徴とする睡眠相遅延症候群に類似していた。病前性格として依存性,無力性人格の傾向が認められたが,それほど顕著なものでなかった。治療として,抗うつ薬にリチウム,カルバマゼピンの併用を試みて,病相発現に対して軽度の改善が認められた。以上のことから本症例の病因には内分泌の変化や概日リズムの障害が関与していた可能性が示唆された。
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.