Japanese
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研究と報告
Gilles de la Tourette's Syndromeの1症例
A Case of Gilles de la Tourette's Syndrome Cured by Haloperidol
白川 典参
1
Tsunemitsu Shirakawa
1
1久留米大学医学部精神神経科学教室
1Dept. of Neuropsychiat., Kurume Univ. School of Med.
pp.631-636
発行日 1969年8月15日
Published Date 1969/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201507
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I.はじめに
全身性チック様運動については,1825年Itardが最初に報告しているが,1885年Gilles de la Tourette8)が“反響言語,糞語症を伴つた非合目的運動を呈する神経疾患”と題し,9名の患者をまとめて報告している。以来その症候群に対して彼の名をとりGilles de la Tourette氏病あるいは症候群としてよばれるようになり,単なるチックとは違つた症候群であろうと考えられている。
Ascher1)によると発病はほとんど10歳以前の子どもである。顔面がもつとも多いが手足など四肢末端部のチック様不随意運動に始まり,一時的な寛解はあるがチック様不随意運動は徐々にひどくなり,ついには全身の奇妙なチック様不随意運動へと拡がつてゆく。この疾患でもつとも特徴的なものは糞語症(coprolalia)であり,発病してから数年後に出現する。最初は言葉にならない叫び声(vocal tic)として現われるが,やがてその叫び声は言葉となり,coprolaliaとして現われてくる。社会適応の場でなにか困難な場面に直面したときにその反応としてcoprolaliaを生じることが多く,“shut up”,“don't say it”,“keep quiet”など多くは攻撃的色彩が強い。
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