Japanese
English
研究と報告
一反応性うつ病の精神力動
Psychodynamics of a Reactive Depression
阪本 良男
1
,
梶山 清子
1
Yoshio Sakamoto
1
,
Kiyoko Kaziyama
1
1大阪市立桃山市民病院神経科
1Dept. of Neuropsychiat., Osaka City Momoyama Hospital
pp.797-799
発行日 1968年10月15日
Published Date 1968/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201389
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
精神科外来を訪れる患者のうちで抑うつ状態,すなわち,悲しみ,失望,孤独感,孤立感などを主訴として来院する者は少なくない。このような患者は,悲しみを表現し,死にたいといい,なにか泣きたいような,また単に憂うつであると表現したりする。また一方,その抑うつ的気分がおおい隠されて,全身倦怠,不眠,食欲不振,焦躁感,またはその他のいろいろの身体的訴えとして表現されたりすることもある。しかし,臨床的に抑うつ状態は正常者に近い者から精神病までその訴える患者の範囲は広い。また抑うつ状態にはそれに前駆する要因のあることが多いが,その示す抑うつ状態の期間,および程度は患者によりさまざまである。
さて,最近われわれは,自殺企図を伴つた抑うつ状態で来院し,その治療をとおして患者の示した病像の精神力動が比較的よく認められた症例を経験したので,その患者の示した精神力動を追求し,その抑うつ状態について二,三の知見を述べたい。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.