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I.はじめに
うつ病の疾病学的分類については,経過,病像,発病状況などの塞準がさまざまな比重をもつて行なわれている。事実同じようにphasischに経過するうつ病においても,種々の臨床像を観察する。したがつて,すべてのうつ病を単一疾患として取扱うなら,そこには臨床的にも治療的にも混乱が生ずる。また,本日のこのシンポジウムのテーマであるPathogenieとの関連における性格と状況に関しても,すべてのうつ病について一括した形で論じようとすれば,同じように混乱を招く恐れがあるように思われる。われわれは,できるだけその混乱を避けるため,うつ病をつぎの3つの臨床類型に分けて考えていきたいと思う。すなわち,まずreine Depressionとzyklothyme Depressionに大別し,さらにzyklothyme Depressionを狭義のzyklothyme Depressionと従来の古典的意味でのmanisch-depressives Irreseinに細別してみていきたい。
第一群(reine Depression)にはLeonhard1)のいう,いわゆるreine Melancholie,hypochondrische Depression,selbstquaierische DepressionおよびVerarmungswahnを中核症状とするMelancholieおよびTellenbachのTypus melancholicus,2)さらにNoyes3),Titley4)などの記載しているInvolutions melancholieなどが含まれていて,それらはすべて,いずれもmonoplarでperiodischな経過をたどるDepressionであり,しかもその家族内精神病には,単相性うつ病,hypochondrische Depression,強迫神経症などがあり,躁うつ性うつ病は見られないという特徴を持つている5)。
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